初日観劇レポーター Cブロック(マエ田マオ)

●C-1  劇団ひととせ(全国各地の諸大学)

『楚々』


なんだか、妙に、生々しいというか、観劇後どうにもちょっぴり不安定な気持ちになるような、そんなお話。

 細部まで緻密に紡がれた言葉が語られることで、どこか小説を読んでいる時に近しい感覚を覚えたりもし、冒頭からグッと掴まれました。わたしは今も余韻に離してもらえていません。

 会場では各団体の紹介が掲載されたパンフレットが配布されます。そちらに載っているこの『楚々』のあらすじを皆様、ぜひとも開演前にしっかりと脳に焼きつけておいてください。‘そう言って彼は、彼女を食べた。’ この一文が、一体どういう意味なのか。わたしはこれが判明した瞬間にハッとさせられました。

 メインキャラクターである1人の男性、彼が生み出す彼自身の独特の世界観に、きっとじわじわと包まれていくことと思います。一見ロボットのようにすら思えたりもし、淡々としている彼ですが、その根底にある極めて生っぽく人間味が丸出しの感情が時々見え隠れするのが非常に良いです。

 また、こちらの作品をご観劇になる際は、開演ギリギリの時刻ではなく、少し余裕をもってご到着になられることをお勧めします。開演前から早くも引き込まれるであろうと思いますゆえに。

 さて。わたしはちょっとの間ラーメンは食べないでおこうかな、なんて思っちゃいました。


●C-2 stereotype(立命館大学)

『なぞるなぞる』


 事前に作品紹介から得られた情報は、なぞなぞがたくさん出てくる話だ、ということくらい。なぞなぞがどんな風にお話に組み込まれていくんだろうなぁ、と全く想像はついていませんでした。

 そして!

 この作品!!

 とにかく楽しい!!!

 ずっと観ていたいとすら思いました。すごく自然な会話の世界。わたしがもし男の子として生まれていたならば、ぜひあんな風な愉快な輪に入ってみたいところです。

 こちらは個人的に、Cブロックの中でも特にお気に入りの作品です。これからご観劇になられる皆様におかれましては、肩の力をぬいて、ただただ楽しんでほしいです。あ、でも、ちょーっとだけ考えながら観るのもいいかもしれない。

時として欲に忠実で、また、時として少しチクっとする切なさを感じたりもします。

なぞなぞについては、毎回の答えをぜひともしっかり記憶しながら観てみてください。

そうすると、次以降の場面がより楽しくなることと思います。

さて、劇中に出てくるキャラクターの中でわたしが特に好きなのが、先生。ピンクのネクタイ姿がかわいい。そしてなにより、役者さんの声がとても素敵。もう一度言います、声がとても素敵でした。

チラシでもお勧めされているとおり、複数回観ると更に楽しくなるだろうなぁと思いました。2回目以降には一体何が見えてくるのでしょうか。



●C-3  南極ゴジラ(関西大学)

『贋作バック・トゥ・ザ・フューチャー』


 THE・エンターテイメントなお舞台でした。ぜひとも頭はすっかりとからっぽにして、流れに身を任せてご観劇ください。なにより、パフォーマンス部分の楽しさは絶品です。

 さて、どのキャラクターが特に好きだったかなぁ、なんて思い返してみたのですが。これに関しては、誰も彼もの個性が負けず劣らず強く放たれ過ぎていて、とても選びきれませんでした。

しかしながら、強いて言うなら、主人公・万吉の表情の豊かさにわたしは特に惹かれました。デロリアンの機械的な動きも見事な存在感があったなぁ。

 あのわちゃわちゃとした愉快な世界観、こればかりは「とにかく会場で目の当たりにしてほしい!」これに尽きます。演出さん、役者さんのやりたいことがここにはたくさん詰まっているんだろうなぁ、と感じました。これが的確な表現であるかはわからないのですが、宝石箱みたいな舞台でした。ほんとに、たーーくさん、詰まっているのです!

 そして最後にひとつ、これだけは言わせてください。

 あんなに!

黒子の存在すらも面白いなんて!!

最高か!!!

京都学生演劇祭2018

京都学生演劇祭2018ホームページです。 公演情報や団体情報など多くの情報を掲載しています。 京都の学生劇団が集い、「今、京都で最もおもしろい舞台をつくる学生劇団はどこか」という問いに答えを出すべく、2010 年に始まった演劇祭。2018年は15団体が京都に集い、演劇祭を熱く盛り上げます。

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