初日観劇レポーター Cブロック(観劇オバケ)
●C-1 劇団ひととせ(全国各地の諸大学)
『楚々』(上演時間約48分)
上演前から舞台上に向井里穂子さんと田中直樹さんがいる。向井さんは何かブツブツ言っているし田中さんは防火用水の水をコップで掬っては飲んでいる。明らかにアブナイ人達。真ん中奥には縦長のボックスのようなものに気泡緩衝材を垂らして作ったもの(シャワールームとして使う)が置いてある。
向井さん演じる友人がボールペンを落とす。拾った田中さん演じる男がボールペンをへし折る。このことから知り合った二人。向井さんと田中さんの会話は常にかみ合わない。明らかにヤバい雰囲気の男。普通こういう男に女の子が近づくことは無いんじゃないか?という思いが頭を掠めるがそこはお話,許容しよう(笑)
男は週6で通っているというラーメン屋に友人を連れて行く。男はラーメン屋で働く女に惚れているらしい。「オレだけが彼女を知っていたい」「彼女のためなら何でもできる」と言っていることまでかなりヤバい。そして女のマンションの部屋に行く(ラーメン屋がある上にある部屋のようだ)。それだけでもストーカーなヤバさなのに部屋の鍵がかかっていないことまで知っている。男―キヨミズ―が勝手に入ろうとするのを止める友人。
その後そのマンションの貯水槽から女の死体が見つかる。キヨミズもいなくなる。そしてラーメン屋の女もいなくなる。ラーメン屋と女の部屋のシャワールームの排水溝とつながっている,つまり女の使ったシャワーの水で出汁をとっていると取れる内容の報道がTVで流れる。どう考えても男が女を殺害したに決まっている。そして不衛生なラーメン屋。
14日後犯人が自首する。キヨミズでは無かった。キヨミズとは似ても似つかぬ人物だった。女も旅行に行っていたみたいでラーメン屋に戻って働いている。ラーメン屋の出汁も彼女の部屋の排水溝と無関係なことがわかる。しかし週6通いつめていたキヨミズだけは二度と現れなかった。サイコホラーな作品でした。向井さん・田中さんのアブない感じは学生の演技としては結構なレベルなんじゃないかなぁ。。7点。
●Cー1stereotype(立命館大学)
『なぞるなぞる』(上演時間約45分)
関西小劇場の劇団で7月に解散したThE2VS2を髣髴させる劇団。ショート作品だし出演者三人の格好が白シャツに黒系のパンツ。まさにThE2VS2(笑)転換の際になぞなぞ?クイズが出される。大体二問セットで出題されるのだが二問目がその後演じられる作品とつながっていることが多かったかな。。そしてクイズの幾つかが伏線となって最後にはすべてのショートがつながっている?オムニバス的作品。
出だしは二人の出演者(お名前がわからない。この辺が配役を当日パンフレットに記載していないと不親切なんですよね、どこまで出演者の名前や劇団を覚えてほしいのかわからないのですが覚えてほしいならこの辺も考えるべきでしょう)が世界における人口の経過?と交通の進歩についてそれぞれ語っているところから始まった。一話目。競技大会を屋上でサボる二人の男子高校生。大縄跳び大会で揺れる巨乳女子高生ハイカワの胸を見て喜んだりしている。キソハラというイジメで不登校になった男子の名前も出てくる。二話目。イシグレ先生のお葬式(御通夜)に黒いネクタイを借りる話。三話目。ミスターロト6に願いを叶えてもらう話。四話目。高校の同窓会。キソハラによって拉致監禁される二人。
なぜ二人がキソハラに拉致監禁されているのかわからないまま終わるのが?だが。。勢いもあったしテンポも良かった。出演者三人の発声や滑舌も良かったと思う。8点。
●C-1 南極ゴジラ(関西大学)
『贋作バック・トゥ・ザ・フューチャー』(上演時間約50分)
実は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をちゃんと観たことが無い(あらすじはなんとなくはわかる)んですよね(苦笑)
万吉は妻の花と二人暮らしの老夫婦。妻が出かけてる最中に配達員が訪れる。町の郵便局の時計が止まったままなのを直す募金を求めるチラシ?だったかな。。を破り捨てる。その後会長?に追われた毒(頭脳だけ移植されたアンドロイド。ホログラフィーで万吉と話していたはず)がデロリアンに万吉を乗せ過去にタイムスリップさせる。
タイムスリップしたのは1968年。デロリアンが町にただ一人しかいない助産師にぶつかったせいで出産前の之吉としずえの夫婦は慌てる。そこにしずえに惚れている?鬼瓦とホネオがしずえにちょっかいを出す。不甲斐ない之吉に愛想が尽きて之吉と別れようとするしずえ。二人が別れると自分が生まれなくなってしまう万吉は二人を結びつけるために一計を案じる。この辺は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とほぼ同じ。違うところはこの年の12月に起こった三億円事件を結びつけたり万吉が身体の負担を和らげるために着てきた防護服を鬼瓦が手に入れ強化パワースーツに改造してデロリアンと戦ったりするところかな。。結局之吉にさせられていた槍投げで万吉が鬼瓦を倒すのだが。その後しずえはめでたく出産。万吉は母親であるしずえと話をする。しずえに自分の妻花との馴れ初めを話す万吉。小学4年生の時にボロボロオバケから守ったのが出会ったきっかけだった。
郵便局に落ちた雷の電力を利用して現在に帰って来た万吉だが自宅に帰り着くとそこは自分の家では亡くなっていた。毒によると万吉が過去に行った結果パラドックスが生じてここは万吉と花が出会うことが無かったパラレルワールドなのだと言う。その後花と出会うために幾度と無くタイムスリップを繰り返す万吉。しかし花と結ばれる現在には行くことはできなかった。そして身体の負担を考えると最後のタイムスリップを敢行。ボロボロになってしまった状態の万吉は小学4年生の花の前に現れる。同級生の男の子が万吉から花を庇って逃げ去る。あのボロボロオバケは自分だったのだ,と悟って死んでいく万吉。まさかのバッドエンドでした。
45分間と言う制約があるせいで矛盾点は結構ある,と思う。ご都合主義というか。端折った部分もある,という点も含めて。少しドアを開けるマイムが雑と感じたり花の制服姿のすそからスカートが出たりしてる(ワザと?)など粗いと思う点があった。「老若男女が親しみやすいB級演劇を目指すB級演劇を目指す」とのことなのでテンポも良かったし良いんじゃないですか(笑)7点。顔写真つきの当日パンフレットありがとうございました。出演人数や役も多いので配役がはっきり分かって便利でした。
※誤字脱字など有りましたらまた御連絡頂けると幸いです。
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